Anita Waller、残酷な推理小説作家

英国の推理小説家であるAnita Wallerの紹介記事。最近の推理小説はハッピーエンドばかりでつまらなく感じていたのだが。久しぶりのお気に入りの作家の登場である。

残酷と言っても作家自身が残酷ということではない。作品が押し並べて残酷であるという意味である。最近、この作家の作品を集中的に読んでいる。なぜこの作家の作品に自分が惹かれるのか、その理由を今回の記事では考えてみたい。

誰でも読書の癖みたいなものがあると思う。自分の場合は、気に入った作家が登場するとその人の作品をほとんど全部を一気に読んでしまうことである。残念ながら最近はそのような作家が見当たらなかったのだが、久しぶりに連続して読める作家が登場した。Anita Wallerである。

どんなきっかけで読み始めたのか忘れてしまったが、ここ2、3ヶ月で10冊近くは読んだであろうか。連続して短期間で多量の本を読む。この経験が久しくなかったので、嬉しい限りである。

英国の作家。シェフィールド出身。この作家の作品にはよくサッカーのチームが登場する。子供の頃からプレミアムリーグには馴染みが深かったので、何かしら懐かしい気もする。

作品もさることながら、作家の経歴も興味深いものである。今回の記事では省略するが、70歳近くになって作家デビューを果たした人である。シニアの新人小説家なるものが話題となっているが、その代表と言っても良いだろう。代表的な作品としては、BeautifulやStrategyなど。Kat and Mouseシリーズも有名なものである。

さて作品の話である。

別段悪いわけでもないが、最近の小説などはハッピーエンドで終わるものが多いような気がする。まあ自分などもドラマなどではハッピーエンドがないと物足りなく感じているのではあるが。

Anita Wallerの作品は、ハッピーエンドで終わるものは少ない。犯人が逮捕もされずに逃亡してしまったなどこれまでの推理小説にはない話の展開である。こんな終わり方をする推理小説があっても良いのではないか、私が惹かれる理由の一つである。

残酷な結末。これだけが特徴ではない。この結末方式を取り入れたことで小説の展開が自由になる。これも惹かれる理由である。

結末をハッピーエンドに設定すると、小説の最後の方で謎解きがあり、大概はその謎がそれほど面白くもない。こんな推理小説が多い。それまで興味深く読んでいたのが急に馬鹿らしく感じる時でもある。

Anita Wallerの作品では、最初っから殺人犯がわかっているものもある。例えば34 Daysなど。最近のハッピーエンド推理小説にすっかり慣れてしまった自分としては、これからどんな展開となるのだろうか心配になったものだが、杞憂であった。種明かし的なことは書けないが、残酷な話の展開。

まだ読んでいないAnita Wallerの作品もだいぶ少なくなってしまったのだが、さて次は何を読もうか。楽しみである、